夢石(ムーンストーン) [アンティーク]
手にした者に夜の美しいビジョン(夢)を見せてくれる夢石
古代インドでムーンストーンはそう信じられていました。売買の時は必ず聖なる色とされた黄色の布で包むのが習わしだったのです。アラブ世界では子宝をもたらす石とされ、古代ローマでは月の満ち欠けに従って大きさが変わっていくと信じられていました。洋の東西を問わず単に美しいだけでない不思議な力を持つ石として大切にされてきたのです。
大きさが変わるなんていくら何でも・・・と思うかも知れませんが当時は僅かな灯火を別にすれば夜の明かりは月明かりだけです。月の満ち欠けによって降りそそぐ月光の明るさが変われば光を受けて現れる「シラー効果」(後述します)も見え方が変わってきます。暗い夜の世界では石の輪郭そのものは目立たなかったことでしょうから、おそらくシラー効果の変化を見て「石の大きさが月の満ち欠けのよって変わる」ととらえたのでしょう。
時代は下って16世紀。さすがに宝石の大きさそのものが変わると考えられることはなくなりましたが月の満ち欠けによってムーンストーンの乳白色が濃くなったり薄くなったりすると記載された文献が残っています。そして同時代のイングランド国王エドワード6世はとても不思議な伝説的ムーンストーンを所有していました。エドワード6世のムーンストーンには銀色の炎のような光が見られ、その炎は月の満ち欠けによって大きさと輝きが変わるだけでなく、石の表面を移動してやがて裏側へと廻り月が地球の周りを公転するように石の周りを一周したのです。これは1571年にフランスで出版された「月の秘密」という本に書かれたお話で、少年王エドワード6世が崩御されたのが1553年です。お話の真偽のほどは今となっては分かりませんが、現存していないからといって単なる伝説・作り話と決めつけることはできません。21世紀の現代の目で見てもムーンストーンにはそれほどまでに不思議な力と魅力を感じさせてくれるのです。
ところで先ほどからずっと“ムーンストーン”と呼んでいますが実はそう呼ばれ出したのは17世紀に入ってからと、比較的新しい言葉なのです。それ以前の古い言い方では“セレニテス”と呼ばれていました。ギリシャ語で月と月の女神を表すセレーネが語源です。セレニテスも美しい響きですがムーンストーンの方がより月そのものがストレートに感じられて素敵だと思いませんか?
かつてムーンストーンは月の光をその身に宿した石、あるいは月の光が結晶化して出来た石であると考えられていました。科学が発達した現代においてはそうでないということが証明されていますが、まるで月の光のように輝くムーンストーンを手にしてながめていると科学で証明された事実よりも神話や伝説の方が真実であるような気がしてなりません。数ある宝石の中で月の名を冠するただひとつの宝石、それがムーンストーン。
月の光で作られていないのならムーンストーンは何でできているの?後述すると言っていたシラー効果って?・・・この続きはまた明日書かせていただきますのでどうかお楽しみに!
古代インドでムーンストーンはそう信じられていました。売買の時は必ず聖なる色とされた黄色の布で包むのが習わしだったのです。アラブ世界では子宝をもたらす石とされ、古代ローマでは月の満ち欠けに従って大きさが変わっていくと信じられていました。洋の東西を問わず単に美しいだけでない不思議な力を持つ石として大切にされてきたのです。
大きさが変わるなんていくら何でも・・・と思うかも知れませんが当時は僅かな灯火を別にすれば夜の明かりは月明かりだけです。月の満ち欠けによって降りそそぐ月光の明るさが変われば光を受けて現れる「シラー効果」(後述します)も見え方が変わってきます。暗い夜の世界では石の輪郭そのものは目立たなかったことでしょうから、おそらくシラー効果の変化を見て「石の大きさが月の満ち欠けのよって変わる」ととらえたのでしょう。
時代は下って16世紀。さすがに宝石の大きさそのものが変わると考えられることはなくなりましたが月の満ち欠けによってムーンストーンの乳白色が濃くなったり薄くなったりすると記載された文献が残っています。そして同時代のイングランド国王エドワード6世はとても不思議な伝説的ムーンストーンを所有していました。エドワード6世のムーンストーンには銀色の炎のような光が見られ、その炎は月の満ち欠けによって大きさと輝きが変わるだけでなく、石の表面を移動してやがて裏側へと廻り月が地球の周りを公転するように石の周りを一周したのです。これは1571年にフランスで出版された「月の秘密」という本に書かれたお話で、少年王エドワード6世が崩御されたのが1553年です。お話の真偽のほどは今となっては分かりませんが、現存していないからといって単なる伝説・作り話と決めつけることはできません。21世紀の現代の目で見てもムーンストーンにはそれほどまでに不思議な力と魅力を感じさせてくれるのです。
ところで先ほどからずっと“ムーンストーン”と呼んでいますが実はそう呼ばれ出したのは17世紀に入ってからと、比較的新しい言葉なのです。それ以前の古い言い方では“セレニテス”と呼ばれていました。ギリシャ語で月と月の女神を表すセレーネが語源です。セレニテスも美しい響きですがムーンストーンの方がより月そのものがストレートに感じられて素敵だと思いませんか?
かつてムーンストーンは月の光をその身に宿した石、あるいは月の光が結晶化して出来た石であると考えられていました。科学が発達した現代においてはそうでないということが証明されていますが、まるで月の光のように輝くムーンストーンを手にしてながめていると科学で証明された事実よりも神話や伝説の方が真実であるような気がしてなりません。数ある宝石の中で月の名を冠するただひとつの宝石、それがムーンストーン。
月の光で作られていないのならムーンストーンは何でできているの?後述すると言っていたシラー効果って?・・・この続きはまた明日書かせていただきますのでどうかお楽しみに!
2012-06-24 22:52
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コメント(6)
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セレニテス・・・
素敵な名前を教えてくださってありがとう。
セレーネの名前がついている石はセレナイトもありますね。
いま気になっている石です。
宝石ではないですけれど・・・。
ムーンストーンもやわらかくて美味しそうで好きです。
どちらもお月様の光が宿っていそうなの。
by 輝月夜姫 (2012-06-26 22:06)
輝月夜姫様
こんばんは、コメントをしていただきありがとうございます。お月さまにまつわる言葉はどれも美しくて素敵ですよね。姫様はセレナイトを御存なのですね。感性を高め、月の力をその身に受け止める石ですのできっと姫様を助けてくれると思います。飲み込んでしまってはだめですがお口にムーンストーンを含んでお月さまにお願いごとをすると願いがかなうという言い伝えがあります。月の女神さまはムーンストーンもセレナイトもきっと分け隔てなく願いをかなえてくれますよ!
by Extar15 (2012-06-26 23:12)
ムーンストーン、誕生石なので持っています。
ムーンストーンを使ったおまじないもありますネー。(*´∇`*)
by つなみ (2012-06-27 16:29)
つなみ様
こんばんは、コメントをしていただきありがとうございます。つなみ様は6月生まれなんですね!誕生日はもう過ぎてしまいましたでしょうか?遅くなってしまったかもしれませんが言わせてください。お誕生日おめでとうございます!
ムーンストーンでおまじない。最近お試しになりましたか?つなみ様のお願いがきっとかないますように。
by Extar15 (2012-06-27 22:05)
ムーンストーンにはとても心惹かれます。
天然石の中で一番好きかもしれません。
私は月が好きなのですが、だからなのかどうか・・・?
ビーズにしたものやリングなど、気づけば色々と集まっていました^^
by Sizuku (2012-06-28 12:19)
Sizuku様
こんばんは、コメントをしていただきありがとうございます。Sizuku様もムーンストーンがお好きなのですね。心から惹かれるものにはきっと理由などないのだと思います。集まってくるのも縁あってのことです。これからもムーンストーンでお洒落を楽しんでくださいね!
by Extar15 (2012-06-28 23:29)