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小指のお話 [アンティーク]

今日、TVをつけるとちょうどCMが流れていました

猫の格好をして小指を立てながら眠気覚ましのドリンクを飲むというCMでした

でも・・・

「食事の際に小指を立てる」

マナー違反とまではいきませんがしないよう気をつけることが賢明です

もしヨーロッパのきちんとした食事の席でうっかりそんなことをしてしまったら、

グランディー夫人(礼儀作法に厳しく口やかましい人のたとえ)に

「あなたは貴族の出なの?」とたしなめられてしまいます

言ってくれる人は親切ですが言わずに心の中で笑っている人もいることでしょう

何故か?

「上品ぶって気どっているように見えるから」ではありません

食卓で胡椒を使う際の古い時代のマナーが関係しているんです

かつてヨーロッパでは胡椒は金と同じ価値がありました

味付けはもちろんですが胡椒には高い防腐効果があり、

食品を長期保存する為に欠かせない存在だったのです

胡椒の代わりとなれる物は無く、寒いヨーロッパでは栽培することもできませんでした

金1グラムの値段と胡椒1グラムの値段が同じだったのはこのためです

中世では貨幣的価値が認められ年貢や税金、報酬等も胡椒によって支払われました

胡椒が貴重品としてどれだけ珍重されていたかがお分かりいただけることと思います

そのため裕福な貴族の家柄であっても食事の際はごく少量ずつしか使えませんでした

御招きに与ったからといってテーブルの胡椒を大量に使ったりするのは大変なマナー違反です

ではどうすればいいか?ちゃんと作法がありました

最も少量のつまみ方である親指と小指で胡椒をつまんで使ったのです

意外に思うかもしれませんが15世紀位まではヨーロッパでも手づかみで食べるのが一般的でした

食事の際に全部の指を使って食べていたら胡椒をつまむことがができません

金と同じくらい貴重で大切な胡椒が湿気て使えなくなってしまいます

左右の手を変えればいいかというとそうではありません

「胡椒をつまむためには小指を濡らしてはならない。だから食事中は常に小指を立てるように」

貴族にとっては常識の、礼儀作法だったのです

「あなたは貴族の出なの?」

これはマナーの歴史としてそのことを知る人が現代の食事の席でつい小指を立てる人に対して、

まるで中世の貴族のような大仰で時代錯誤な振舞いに映るからやめなさいとの忠告なのです

ここまで求められるのは本当の最上級の世界かも知れません

でも人生何が起こるか分かりません

ひょんなことから公式の晩餐会に招かれることだってあるかもしれません
(環境相主催の晩餐会に間違えて一般人を招待、スウェーデン:AFP通信→)

小指を立てるのがクセにならないよう、普段から気をつけていくことが大切です

素敵な「いざ」という時のために
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