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変わる [monologue]

私が住んでいる街の、となりの街の駅前に文房具屋を兼ねた煙草屋がある。
三年ほどまえだが、雨あがりの或日に、その前を通りかかり、
煙草を切らしていることに気づいて、ピースを二箱買った。
店先にいたのは、地方から出て来たばかりらしい、いかにも健康そうな、素朴な少女であった。
と、そのとき・・・・・・。
前を通りかかった老人が何かにつまづいて転んでしまい、ズボンが泥だらけになった。
少女は、すぐに走り出て、ぬれた雑巾で老人のズボンの泥をふき取ってやった。
老人は、この店で、いつも煙草を買う客らしかった。
このように親切な少女だから、私にピースを売る態度も初々しくて、ていねいであった。
私は、この店で、いつも煙草を買う客ではない。
そして、三年たった最近の或日。
この煙草屋の前を通ると、あのときの少女が店に出ていた。
もう、少女ともいえない。口紅が濃く、アイ・シャドウも濃かった。
服装にも、彼女の三年間の東京暮らしが、はっきりとうかがわれた。
私が、煙草のウィンドウの前へ立ち、
「ピース二つ」
「というと、少女・・・・・・いや、むすめが近づいて来て、にべもなく、
「ありません」
という。
「ないことはないだろう」
「ないんです」
「よく見てごらん、ケースの中を・・・・・・」
「見なくても分かります」
と、むすめはうそぶいた。
「いや、下の方にあるじゃないか」
私がそういうと、むすめはこたえた。
「下の方から出すの、めんどうくさいから・・・・・・」

ちょうど今から四十年前に書かれた池波正太郎さんのエッセイから

「極端な話」と笑うことはできません

人は変わる

でも人は自分が変わったことに気づかない

そのひとつの例ですが、

“自分を振り返る余裕”があればおのれの変化に気づけるのではないかと僕は思っています

気が付くことができればたとえよくない方に変わっていたとしても軌道修正できるはず

変わるならより良く変わり続けていきたい
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