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ネグリジェネックレス [アンティーク]

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“ネグリジェ”とありますが夜寝る時に着用するためのジュエリーではありません。ネグリジェとは貴族など上流階級の女性が自邸で日中に着ていたウェストを締めあげないゆったりしたとしたドレスのことで、くつろぐ時に着用ていた「贅沢な普段着」のために誂えられたネックレスのことなのです。

ネグリジェネックレスの特徴としてセンターの飾り部分から提げられた二本のドロップラインが自由に動き、またその長さが左右で違っているということがあげられます。こちらの作品は正面から見て右の方が長いのですが、逆に左側が長くなっているネックレスもあります。身体の動きに合わせ揺れ動きながら輝くのですが、こちらはドロップラインの下にダイヤモンドを散りばめた環が作られ、その環の中に提げられたダイヤモンドが更に独立して動くという繊細でとてもエレガントなネックレスです。その動き、そしてその輝き・・・見る人を必ず魅了させてしまうことでしょう。

ネグリジェネックレスが作られていたのは1900年代初頭から1920年前後にかけてのわずかな期間です。元々ごく一部の上流階級の女性のためにつくられたものですし、1914年から1918年の間は第一次世界大戦もありましたので現存するものはとても少ない、アンティークジュエリーの中でも貴重なネックレスです。

セットされていた素材にはダイヤモンド、ルビー、エメラルド、アメジストや真珠などがありますが、他にもジュエリーに本格的に使われるようになった20世紀初期という時代を象徴する素材としてプラチナの使用が特徴にあげられます。しかも単にプラチナ“だけ”を使用しているのではなく、こちらの作品は更に異なる素材であるゴールドを貼り合わせるという現代では決してすることのない非常に手間がかかる仕事がされています。つり下げられたドロップラインは正面から見ると一本の線の様に見えますが、横から見るとプラチナとゴールドが薄い板のようになって貼り合わされているのが分かると思います。とても細いので不安になるかもしれませんが、やわな物ではありません。現代のように金属を冷やして固めただけの鋳造品ではなく、刀のように叩いて鍛えた鍛造品なのでこんなに線が細いのに現代のものとは比較にならないほど耐久力が強いのです。

ネグリジェネックレスは本当の豊かさをもっていた時代に作られた、贅沢でありながらとても遊び心のあるジュエリーです。デザインそのものが遊び心に満ちていますが、この作品を手に入れた人だけが、そんな遊び心のひとつにきっと気が付くことでしょう。手仕事で作られたプラチナチェーン。そのクラスプ(留め具)をご覧ください。プラチナの引き環の中で、着脱するために指をかける一カ所だけがゴールドで作られているのです。アクセントであるとか手間をかけるといったことではありません。遊び心なのです。

本日ショップの方に出品いたしました。ご興味がございましたらお気軽にお問い合わせくださいね。

ネグリジェネックレス

イギリス、1910~1915年頃

カッコウ [岡本太郎さんの言葉]

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カッコよく生きようとするのは自分自身に甘えているにすぎない。
カッコウにとらわれそうになったら、自分を叩きつぶしてやれ。

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