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Diamondは [アンティーク]

ダイアモンドという表記もありますが現代の日本ではダイヤモンドと呼び表すのが一般的。ではヨーロッパの主要国ではどうでしょう?それぞれの言語によって発音やアクセントの違いはありますが綴りはどれもほぼ同じでドイツ、フランス、オランダともにdiamant(イタリア、スペイン、ポルトガルでは最後の語尾にeが付きます)。イギリスだけご存知diamondとなり、頭文字diの発音もダイとなりますが他はディとなります。

ここまで同じであるのはどういうことかというと、つまり語源が共通であるということです。もしも古来からヨーロッパの各地でダイヤモンドが産出されていたならば、綴りも発音もそれぞれの違いはもっと多岐に渡っていたことでしょう。でもヨーロッパではダイヤモンドは採れません。全ては外来のものであり、その供給地は長い間インドだけでした。

diamantの語源はラテン語のadamantで更に遡っていくとギリシャ語のadamanteusに行き着き、非常に強固な、壊せない、負けることの無い、断固としたという意味に当たる言葉です。

ダイヤモンドは非常に硬い物質で実際にその通りなのですがここであることに気付きます。それは何でしょう?答えは…美しい光りの輝きや煌めき、透き通るような透明さといった、ダイヤモンドといえば現代なら誰でも思い浮かべるような美しさ。その美しさを表す表現が言葉の意味するものの中に一切無いということです。

これはどういうことかというと古代ギリシャにおいてダイヤモンドは美しい宝石というよりも非常に硬い透明な石という認識だったからです。ダイヤモンドに限らずほとんどの宝石は磨かれてこそ美しい宝石になれるのです。磨くことができなければ原石のまま。紀元前の時代が終わって紀元に入ってからも直ぐに技術が進歩することはなく古代ローマの博物学者プリニウスも著作(博物史)の中でダイヤモンドのことをインドから渡来したもの、多面体で非常に硬いため切断することができないとの記述にとどまっています。

ヨーロッパの人たちが自らの手でダイヤモンドの研磨ができるようになるまで何百年とかかりました。様々なカットが考案され現代では使われていない、アンティークでしかみかけないカットも。なかでも僕が愛するのはオールドマインカット。綺麗だけど画一的で冷たさを感じさせる現代のラウンドブリリアントカットには心が動きません。知ってもらいたい。古いカットであっても美しさに劣ることなど決してないことを。その美しさには優しさがあることを。

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