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Rのお話 [アンティーク]

想いや気持ちは言葉に出してストレートに伝える。洋の東西時代を問わずいつでもこのことが佳い(最上)とされてきた訳ではありません。直接ではなく間接的表現が好まれた平安時代の日本では和歌に想いを託し気持ちを伝えていました(源氏物語の世界ですね)。現代の世界でも「ONOCHORD(オノ・コード)」があります。

「あなたを愛しています」このメッセージを言葉の壁を越えた世界共通のサインで伝えたい。ONOCHORDはオノ・ヨーコさんが創造した愛を伝えるためのサインの方法です。I(ライトを一度点滅)LOVE(二度点滅)YOU(三度点滅)このライトの点滅のサインが何を意味するのか?世界中の誰もが知っていて説明の必要が無い。いつかきっとそんな日が来ると僕は信じています。

そしてもうひとつ。「REGARD」を御存知ですか?敬愛を意味する英語の言葉です。「ただ愛しているのではなくあなたをこの上なく大切に思い、敬っています」。現代の世界では口に出してストレートに言葉で表現するのもいいでしょう。でもそれは19世紀、特にヴィクトリア朝前期のイギリスでは無粋でセンスの無いこととみなされていました。高貴な身たる者そのようなことはすべきではなかったのです。ではどうやって想いを伝えたのでしょう?耳ではなく目から訴えたのです。手紙でしょうか?いえジュエリーに託したのです。

単に豪奢なジュエリーを贈ったのではありません。そこには「REGARD」の言葉が見てとれます。リングやロケットに直接文字を刻印するのではなく更に奥ゆかしい表現としてREGARDを一文字ずつ宝石で表現したジュエリーを贈ったのです。R=Ruby(ルビー)、E=Emerald(エメラルド)、G=Garnet(ガーネット)、A=Amethyst(アメジスト)、R=Ruby(ルビー)、D=Diamond(ダイヤモンド)が並べられたリング、ペンダント、ブローチを受け取った女性は贈り手の“REGARD”の想いを感じるのです。

宝石を使った言葉遊び(メッセージジュエリー)はREGARDの他にもDEAREST(「最愛の人」。最後のTはトパーズなど)、恋人の名前やイニシャル、ストレートにLOVE(Lはラピスラズリ、Oはオパールです。Vを冠する石にはヴァリサイトがありますが硬度が低く模様は楽しめても宝石とまでは言えませんのでガーネットを当てていました。茶色味を帯びたガーネットを古い言葉でヴェルメイユと呼んでいたのです)といったものがあります。“想いの言葉”の全てを宝石で表現するのは難しいのでREGARD、DEAREST、LOVE以外のものは特に希少です。

REGARDとDEAREST、メッセージジュエリーを代表する二つの言葉の両方に使われているルビー。ONOCHORDにもルビーのRが使われています。今月は7月なので明日は7月の誕生石であるルビーについてお話したいと思います。

ONOCHORDについてはこちらのショートドキュメンタリーをぜひご覧になってみてください。



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